遺言書で遺産が0円?遺留分で請求で取り返せる!その費用・方法とは。

父の遺言書によると自分だけが取り分がない。

岡本さん 57歳男性、既婚、子ども2人。父が最近他界、母は1人暮らし。兄59歳、既婚、子ども1人、妹54歳、未婚。(父の遺産:自宅の土地建物2000万円、預貯金3000万円)


岡本さん: 父が最近亡くなりまして、相続人は、母と私のほか、兄と妹です。葬儀が終わってしばらくしてから、兄が「親父は公正証書で遺言書を作っていた。お前がもらう分はない」と言ってきました。私が「そんな遺言書があるとは信じられない」と言うと、遺言書のコピーを送ってきました。そのコピーを見たら、「自宅の土地建物は妻に相続させる。預貯金は、妻、長男、長女の3人にそれぞれ3分の1ずつ相続させる」となっていたんです。こんなことが許されるのですか? どうせ、兄が父を連れて無理矢理遺言書を作らせたに決まっています! こんな遺言書は無効ではないのですか?

服部: 遺言書の作成日のころ、お父様が認知症その他の病気にかかっていた、ということはありませんか?

岡本さん: 父は、亡くなる直前まで頭はしっかりしていたので、そのようなことはありません。

服部: そうなりますと、遺言書を無効だと主張していくのは難しいと思います。しかし、遺言書が有効だからといって岡本さんの取り分がゼロのままということではありません。岡本さんには、遺言書によっても奪えない「遺留分」という権利があるのです。


【解決策】遺留分減殺請求

◆相談先「弁護士」

遺言書を残しておけば、遺言をする人の財産の行き先を自由に決めることができるのですが、それでも奪うことのできない相続人の取り分が「遺留分」です。特定の相続人だけにほとんどの遺産を相続させる遺言書が出てきた場合や、特定の相続人だけに多額の生前贈与がなされている場合に、遺留分の問題が出てきます。遺言書や生前贈与がない場合や、仮に存在しても遺留分を侵害するものではない場合に遺産分割の基準になるのは法定相続分であって、遺留分ではありません。遺留分は、兄弟姉妹・甥姪以外の法定相続人に認められていて、亡くなった方の直系尊属(両親など)だけが相続人である場合には、法定相続分の3分の1、それ以外の場合には、法定相続分の2分の1です。


岡本さんのケースでは、法定相続分が6分の1ですので、遺留分はその半分に当たる12分の1、金額にすると416万円余りです。遺留分を侵害されている相続人は、遺留分を侵害して多くの財産を取得した人に対して、遺留分の請求(「遺留分減殺請求」といいます)をすることができます。ただし、遺留分の請求は、相続開始及び遺留分が侵害されている事実を知ってから1年を経過したときや、相続開始から10年を経過したときにはできなくなります。いつ遺留分侵害の事実を知ったのかという点は争いになりやすいので、できるだけ相続開始の時点から1年以内に遺留分の請求をすべきです。


遺留分の請求は、いつ行ったかをはっきりさせておくため、配達証明付きの内容証明郵便で行いましょう。内容証明郵便の作成だけであれば司法書士でもかまいませんが、遺留分の請求の交渉を依頼する場合には、弁護士に依頼する必要があります。遺留分の請求をしても直接の話し合いだけで解決するとは限りません。解決しない場合には、家庭裁判所に調停の申し立てをするか、地方裁判所に訴訟を起こすかのいずれかを検討します。


どちらがよいかについてはケースバイケースですが、話し合いの余地がありそうなら調停となり、話し合いの余地が少なければ訴訟ということに一般的にはなるでしょう。調停を申し立てた場合、遺産分割調停とは異なり、調停不成立となった場合でも、審判手続きに移行することはありません。改めて訴訟を起こす必要があります。調停のやり方などは、遺産分割調停の場合とほぼ同じです。


【費用の目安】

弁護士への相談料:30分5000円(税別)が一般的だが、初回相談無料の場合もある。

依頼する場合の弁護士費用:着手金30万円~

報酬(税別): 獲得した遺産が300万円以下の場合 16%

獲得した遺産が300万円を超え3000万円以下の場合 10%+18万円

獲得した遺産が3000万円を超え3億円以下の場合 6%+138万円

獲得した遺産が3億円を超える場合 4%+738万円

実費:戸籍謄本等の資料収集費用、交通費等を負担する必要があります。

(弁護士 服部一将)