遺言書を作成するメリット2つ。家を所有する方は必ず作成しよう。

①遺言は最後の愛のメッセージ。

遺言をすることなく亡くなる人は残念ながら少なからずいます。なぜでしょうか? 「我が家は資産家ではないから財産があまりないと思う」「家族は円満だから争いなんて起きるはずがない」「まだまだ元気で死ぬことなんて考えてないから、今は遺言書を書くタイミングではない」。おそらくこのように考えているのではないでしょうか。しかし、現実には相続争いは増え続けているのです。


全国の家庭裁判所における遺産分割事件(家事審判・調停)の新受件数の推移をみると、昭和40年には3439件でしたが、昭和60年に5141件となり、平成20年には10860件、平成27年には12971件まで急増しています(出典:司法統計HP http://www.courts.go.jp/app/sihotokei_jp/search 2017年2月10日10時確認)。


家庭裁判所に持ち込まれる遺産分割事件が増加傾向にあるということは、相続争いも増加傾向にあり、遺産分割が難しくなってきていることが読み取れます。なお、相続争いの7割以上は、遺産が5000万円以下のケースで起きています。したがって相続争いは資産家だけの問題ではなく、一般的な家庭でも起こっているのです。


この5000万円以下で争いが起きている背景としては、権利意識の高まりが考えられます。若年層に近づけば近づくほど、〝自分〟を重視しています。また、相続財産のなかで不動産の占める割合が高いことも原因でしょう。不動産は、財産としての金額が高いのに分割が難しいため、争いが起きやすいといえるでしょう。


さらに、昨今の雇用状況や経済状況が考えられます。終身雇用が崩壊し、成果主義が導入された結果、定年まで会社勤めができる保証はなく、誰もが先が見えない将来に不安を感じています。右肩上がりの経済成長に伴って給料が上がっていき、定年まで会社にいられる時代ではなくなったのです。このような社会情勢の中で、人の性として、財産がどれだけ少なくても、「もらえる分はもらっておきたい」「一銭でも多くもらいたい」という考え方になることは、何もおかしなことではないでしょう。


また、兄弟姉妹の仲がとても良くても、その配偶者など周囲の人の思惑や強い主張に影響され、遺産相続争い〈争族〉となってしまうのです。あなたが遺言せずに亡くなってしまえば、最終的には、民法で規定されている法定相続分でそれぞれの相続分を確定されることになります。その結果、あなたの大切な人に、あなたが望む財産が渡らない可能性が高くなってしまうのです。遺言があれば、〈争族〉を防ぎ、あなたの大切な人にあなたが渡したいと思う財産を渡すことができます。遺言は、あなたの大切な人を守るための最後のプレゼントであり、愛のメッセージなのです。


②遺言をすることで安心感を得られ、より充実した人生を送れる。

人は誰でもこれまでの人生で築いてきた財産に想い入れがあります。あなたの人生の証ともいえる財産について考えたとき、その財産を愛する家族やお世話になった人に残したい、あるいは寄付をして社会貢献をしたい、そのように考えるはずです。


自分が死んだ後に残るあなたの人生の証ともいえる財産の分配を希望通りに実現してくれるのが、遺言書です。遺言は、あなたの残りの人生をより充実したものにし、自分らしい人生を終えることを助けてくれるものです。遺言書は自分の「死」を前提にしますから違和感を持ったり、気が重くなったりする人もいます。しかし、意外にも遺言書を作るとスッキリして前向きになったという人が多くいます。これは、頭の中でモヤモヤしていたことが遺言書という書面に表されたことによって整理され、自分の想いが実現する安心感を得られたことによります。


また、どのような遺言書の内容にするのか考えることによって、あなたの人生を振り返り、あなたにとって本当に大切な人は誰か、あなたは自分が亡くなった後にその人がきちんと幸せに暮らしていくことができるのかを真剣に考えるなど、あなたの今後の人生のガイドラインを立てる良い機会にもなります。


遺言書は、あなたの大切な家族・大切な人を守るために、そしてあなたの今後の人生をより充実したものにするために必要なものです。全ての人に平等に与えられているもの、それは時間です。どんなお金持ちも、そうではない人も1日は24時間です。そして死も必ず誰にでも平等に訪れ、それはひょっとしたら突然かもしれません。遺言書を作る準備を始めてみてはどうでしょうか。