終身雇用は既に崩壊?その理由を簡単に解説します。

「終身雇用」は、崩壊している

「大企業に就職して、終身雇用してもらったら一生安泰」ここ数十年信じられてきたこの「常識」が、少しずつ崩れていっています。薄々気付いている人もいるし、まったく気付いていない人もいる。でも、一番多いのは、気付いているけどどうしていいかわからないから、「気づかないふり」を続けている人ではないでしょうか。今は、大企業でも潰れたり、ダウンサイジングする世の中です。

私が会社員時代お世話になった企業でも、入社6年目の終わりに「希望早期退職」を募る出来事がありました。創業以来初めてのことに、先輩方が騒つかれていたことを覚えています。毎年業績を伸ばし、過去最高収益を記録して社内全体が浮かれムードだった時期から一変、その3年後にまさか「リストラ」が始まるとは誰も予想していませんでした。私自身の体験として「僕たちの時代に、終身雇用は無いな」と強く感じた出来事でした。当時は「あの会社が?」と驚かれましたが、その後その波は業界に波及し、今では「ダウンサイズ」や「希望早期退職」という名の「リストラ」が、新たな「常識」になりつつあります。

しかし、これは全ての業界に言えることではないでしょうか。その典型的な例が電気業界です。かつて、日本の高度経済成長を支え、世界的ブランドに登りつめた多くの企業が、現在非常に厳しい状況に置かれています。家電大手のP社やS社も早期退職の希望者を募り、企業年金の減額交渉にも着手しています。S社も都内一等地にあった本社ビル群を売却してキャッシュ創出に苦慮しています。

会計操作をした大手企業もありましたが、これも、それだけ業績が苦しいことの裏返し。親の世代では「入社できたら一生安泰」と考えられていた企業の面影は、感じられないように思います。日本を代表するような大企業でさえこのような状況ですから、それ以外の中小企業では、もうとっくの昔に「終身雇用」が消え去っていることでしょう。

終身雇用が崩壊している理由は、実は日本の消費活動自体の低迷だった。

では、なぜこのように「終身雇用」は崩壊していくのでしょうか? 私は、これは「社会保険」や「年金」の問題と同様、日本の人口ピラミッドの年代構成の変化が最大の要因だと考えています。

皆さんご存知の通り、日本の人口は2010年の約1億2800万人をピークに年々減少していっています。今後も続くこの状況を悲観する声もありますが、個人的には「人口減少」だけではそんなに大きな問題ではありません。他の先進諸国に比べて、もともと日本は人口密度が高い傾向にあったので、それが適正人数に戻っていくだけのことです。しかし、その減少の過程で「人口ピラミッド」における年代構成の急激な変化が起こることにより、私たちの世代は大きな煽りを受けることになります。

総務省が国勢調査等をもとにして発表したデータによると、1990年に国民全体の88%を占めていた64歳未満の人口は、2010年の時点では77%まで減少。団塊の世代が75歳を超える2025年には70%まで減少し、人口が9000万人を割ってくると予想される2060年には60%まで低下すると言われています。

つまり何が言いたいかというと、単純に総人口が減少しているだけでなく、消費活動の大部分を担う年代の人口が急速に減少しているということです。大企業は、人員数や企業の体制、生産設備等も含めて、これまでと同じものを同じ量だけ提供する準備をしています。逆に言ってしまえば、大企業は、これまで通りの大きさで回らないと利益を出し続けられない体制になっています。

日本市場が今まで通りかそれ以上で消費活動をしてくれないと、存続できないシステムになっている。でも、実際は全く反対です。日本の「パイ」が縮まることは、誰の目から見ても明らかな事実です。日本の人口は今後も減少し続けるし、消費活動を支えてきた若い年代の人口の減少は特に顕著になる。

だから、大きな企業ほど、今後もどんどん厳しくなります。その「パイ」を拡げるために、いくら「市場のグローバル化」を掲げても、大企業も商売の基盤は日本市場です。言葉も通じない、商習慣、法律、常識も違う海外で、ビジネスの大半の利益を上げる企業が、今後バンバン出てくることなんて考えられない。今の時代は、まだまだ「変化」の始まり段階です。これまで日本の代名詞だった有名企業が、これからどんどんダウンサイズする時代がくることは、とてもシンプルに考えられます。ここでも「常識」は変わっています。あなたは、「行動」を変えられますか?