住宅購入はハイリスクな投資?買った時点で負けゲーム開始です。

「マイホーム」という名の魔物

「30歳も過ぎたら、結婚して、家庭を築いて、マイホームを買え」現代でも、多くの方々が親の世代から受けるアドバイスです。そのせいもあってか、日本人の多くは「マイホーム」を買うことにほとんど抵抗がありません。この「有難くない」アドバイスのお陰で、日本人の多くは「お金」「投資」という言葉には過剰反応して目を逸らし続けるくせに、「マイホーム」となると目を輝かせて住宅展示場なんかに観に行き、その場の雰囲気に呑まれて購入を決意して帰ってきたりします。

ところで皆さん、「マイホーム購入」は「投資」だということを知っていますか??「え!! そうなん!?」という返答がほとんどかと思われます。はい、「マイホーム購入」は「投資」です。それも、恐ろしくリスクが高く、入ってしまった時点で確実な「負けゲーム」です。これほどリスクが高く、リターンが見込めないどころか「負ける」ことが確実な投資?を私は他に知りません。

「勝ち」に行かない時点で「投機」と言っていいかも知れないし、個人的には詐欺と何ら変わりないと思っています。「いくら何でも言い過ぎちゃう??」いえいえ、そんなことはありません。理由を簡単に説明していきましょう。一般の方々が「勘違い」してしまっているのは、大きく次の2つです。

①「購入価格」が、ずっと「資産価額」という勘違い。

一般的な「マイホーム」購入がどれほどのものか知りませんが、土地・建物・諸経費総額4000万円の物件を、自己資金500万円、住宅ローン3500万円融資を受けて購入する場合を考えましょう。

貸借対照表を理解されている方は理解しやすいですが、マイホーム購入前のあなたの資産総額は「キャッシュ:500万円」で、一応確実に資産を「500万円」持っています(*図2)。しかし、マイホーム購入によってこの対照表にも変化が出てきます。左側:資産の欄に記入される金額は「マイホーム:4000万円」となり、右側:負債の欄には「住宅ローン:3500万円」が記載。この2つの値の差額が「純資産:500万円」として記入されて完成です(*図3)。

問題は、ここからです。前述の対照表の値は、あくまで購入直後の「一瞬」の状況を表しているに過ぎません。その証拠に、あなたが契約書に捺印した時点で、購入不動産は「中古物件」として扱われ、その資産価額は4000万円から下落し始めます


仮に、1割物件価格が下がるとしましょう。不動産価格は3600万円です。この場合の貸借対照表は、資産の欄「マイホーム:3600万円」、負債の欄「住宅ローン:3500万円」、純資産の欄「差額:100万円」…(*図4)どうですか?? 一瞬のうちに「400万円」というお金を吹っ飛ばすことが出来ました

さらに悪夢は続きます。購入後5年経過した場合を考えましょう。住宅価格はさらに減少しています。仮に3000万円だったとします。5年も他人が生活した住居を、誰も新築価格で購入したいとは思いません。この仮定はとても妥当なところだと思います。この時の対照表を考えてみましょう。

資産は「マイホーム:3000万円」、負債は「住宅ローン:3300万円」(当初5年間の支払いなんてほとんど利息の支払いに消えます)、純資産「▲300万円」(*図5)。どうでしょうか?? 5年前まで「500万円」を持っていた方が、「マイホーム」を購入することで、5年後には確実に負債持ち生活に辿り着けます。これが、確実な「負けゲーム」という所以です。

親の世代が「マイホームを買え!」ということには、それなりに理由があります。彼らの時代には、不動産価格が上昇していたからです。物件自体が値上がりしていたため、対照表上では「資産欄」の金額が膨らみます。なので、ローンを組んででも「マイホーム」を購入することが、彼らの時代では確率の高い「勝ちゲーム」だったのです。


しかし、現代は違います。バブル崩壊後、1989年から日本の不動産価格は下落の一途です。最近は、アベノミクスの恩恵で「下げ止まり」「上昇に転じた」とも言われていますが、貨幣価値が下がっているだけで、数字上のマジックでしかありません。今後暫く、日本で「マイホーム」を購入することは、確率の非常に高い「負けゲーム」なのです。

② そもそも、「購入価格」自体の勘違い。

これも、本当に勘違いしている方が多くいらっしゃいます。1つ目の理由を説明しただけで、「もう十分や!」という方もいると思います。すでに「マイホーム」を購入している人からしたら、気を失いそうな内容が続きます。

例えば、前述の例をそのまま考えましょう。物件価格4000万円、頭金500万円、住宅ローン3500万円の場合です。皆さん、まさかこの時、「4000万円」の物件を買ったと思っていませんよね?? あなたが購入したその物件、本当はもっと高いですよ。仮に、3500万円の住宅ローンを、そのうち1000万円をボーナス返済分として、2.0%固定金利で35年かけて返済していくとします。その場合、実際の支払い計画は次のようになります。

• 月々の返済金額 : 約8万2000円

• ボーナス時の返済金額 : 約20万円(年2回)

• 35年間返済総額 : 約4844万円

どうですか?? 自分では「3500万円」のローンを組んでいるつもりでも、実際は将来にわたっておおよそ「5000万円」を支払う契約を結んでいますさらに最悪なのは「変動金利」を選択した場合です。

金融機関もあの手この手で融資をしようとしています。ここでは説明しませんが、「信用創造」による融資システムは、金融機関にとっては確実な「勝ちゲーム」であり、自身の利益の根源「ドル箱」商品です。目先の返済額が少なかったら、皆さんもつい財布の紐が緩んでしまうようです。

実際、銀行の融資担当の友人に聞くと、現在ほとんどの人が「変動金利」で「マイホーム」を購入するようです。変動金利の場合、当初の返済スタート数年は利率も低く設定されますが、その後は10年ごとに金利が見直されていきます。当然、将来の金利は固定の2.0%より高くなり、返済総額も必然的に高くなります。現在、住宅ローン返済不能になり「マイホーム」を手放す人の割合は、日本全体で約10%にものぼるそうです。

全てとは言いませんが、こういった方々の多くが、目先の返済額の手頃さだけに注目して、安易な住宅ローンを組んでしまった人のように想像されます。更にもう少しだけ続けると、日本の住宅の平均寿命は30年程度です。新築で購入した場合でも、30年後には確実に「リフォーム」費用も取られることになります。雨漏りがしたら屋根の改修、玄関、外壁のメンテナンス費用なども入ると、更に住宅購入総額は上がることになります。

高齢になってくるとバリアフリー化なども必要になってきます。リフォーム業者のホームページを覗くと、玄関、リビング、トイレ、キッチン、寝室、それぞれ50 ~ 100万円ほどが相場になっているようです。ここまで考えると、一生を通してどう少なく見積もったとしても、プラスで500万円ほどはかかってくるでしょう。さらに固定資産税や他の諸費用まで考えていくと…このあたりでやめておきます。

あなたが「4000万円」だと思って買われた「マイホーム」は、実は少なく見積もっても「6000万円」以上の「お金」を喰い潰す「魔物」です。確かに、「マイホーム」は皆さんの「夢」の部分も担っている投資対象です。経済的合理性だけで、話が解決しないことも十分承知しています。しかし、その「夢」に投資するとしても、ぜひ全体像を正しく理解した上で臨んで頂きたいと思います。皆さんの中の1人でも多くの方が、この呪縛から解き放たれることを願っております