孤独な子育てが不安?転勤で誰も知らない土地で子育てをするメリット

転勤から始まる子育て。

次男を出産して一年後に夫の転勤が決まり双方の実家に近かった和歌山市から、誰一人知り合いのない大阪市内に引っ越すことに。転勤の決定が十二月で、引っ越しは三月の初めに決まり、四年かけて築いた社宅の人間関係と長男の保育園のお友達関係にもお別れすることになった。わたし自身は、人との関係づくりや新しい環境が嫌いなわけではないけれど、長男の通う保育園をどうする? 役所は? スーパーは? 銀行は? 小児科は? 実生活に必要な社会資源を探すって、結構骨の折れる作業。


知り合いのいない土地。「右も左もわからない……とはこのことなんだなぁ……」と。引っ越してきて二日、疲れが出たのか子どもが熱を出した。もちろん、小児科へ連れていくすべもなく、夫の帰りを待って小児科を探した。救急に尋ねると、夜八時まで受け付けてくれる小児科を教えてくれた。


長男の通う園を探すのもひと苦労。何しろ、こだわりのあるわたし。「社宅の子どもがみんな通っているから」とか「通園バスがかっこいい!」「制服がかわいい!」などは何の魅力もなく、逆にどうでもいい。近くにある幼稚園に電話をして、四月から入園できるかを確認して、あれば見学をお願いした。でも、三月に入っているので、すでにいっぱい。なかなか思うように見つからない。


なかなか決められずに日にちが流れていく中で、散歩がてら、ベビーカーを押して歩いていたとき偶然にも保育園を見つけた。その園は子どもの声にあふれ、保育士さんはベテランぞろい。特別立派な遊具があるわけではないし通園バスもなければ、かわいい制服でもないけれど、子どもたちを見守る園長先生がつくる穏やかな空間と自然な優しい笑顔に、わたしが惚れてしまった! (引っ越しをしてきたばかりで仕事をしていないので、難しいのかな?)と思いながらもあちこちの園を見たり、話を聞いたりした中で「どうしてもこの園に入れてもらいたい」とお願いして、何とか入園を承諾していただいた。この園長先生との出会いが、わたしの今後の人生に大きな影響を及ぼすなんて、このときは全く想像すらしていなかったなぁ。


長男が無事に保育園に通い始めて安心し、緊急に手配することが一通り終わって初めて「どうやってこの土地になじもうか」と現実に気付いたの。ちょっと気持ちに余裕ができたのね。誰一人知り合いのいない、知らない土地にさぞかし不安だと思うでしょ。でも、実のところ、「不安」よりも「解放感」の方が強かった

知人が誰もいない土地で味わったのは「自由!」。

どういうことかっていうと、以前の住まいは夫の実家に近くてね。退職して、時間のあった両親は、何の連絡もなしに自分たちの都合で急にやってくる。来られた方は困るでしょ。お友達がそそくさと、バツが悪そうに帰って行ったわ。夫の実家からの「押し付けられる苦悩」「振り回される戸惑い」から解放された。転勤と引っ越しは、わたしにとってまさに「新天地への夢と希望」。それは、寂しさや不安を軽く飛び越えるほどのものだった。


大阪市内での生活は、それから八年弱。緊張状態から解放されたわたしは、ここからが本来の子育て。義父母に遠慮することなく、ご機嫌伺いをする必要もなく自分で考えて、自分にできることをやっていく。ご近所でお友達を見つけて、助け合いながら育てていく「余計なことに縛られず、子どもに向き合っていける」それがどんなに幸せなことか! わたしの母としての「生き直し」「育て直し」が始まった。