マイホームを買う前に知っておきたい。持ち家のメリットとデメリット

どうして家が欲しいですか?をきちんと考える。


「衣食住」

人が生活を送る基盤となる3つのものを指してこう表現されます。「着るもの」「食べるもの」「住むところ」、どれもなくては困るものです。しかし、今やファッションもグルメも楽しむものになっているかもしれません。


住まいについても多様な価値観のもとで、「持ち家」「賃貸」というカテゴリーそれぞれで住む人の価値観が表れるものになっています。「持ち家」といっても、大きく一戸建てかマンションかという選択肢がありますし、「賃貸」もアパートやマンションだけではなく、一戸建てもあります。賃貸でも快適に過ごせる性能の物件も増えています。地域によって事情は違えど、「持ち家」でも「賃貸」でも快適に過ごせる時代です。ところが、日本人は家や不動産に対する執着が強いともいわれます。


一昔前には「結婚して、子どもが生まれたら、マイホームを持つ」というのが、一人前の男として認められる条件のように思われていた節があります。そのマイホームも「賃貸アパート」暮らしから始まり、「分譲マンション」を買って、しばらくしたら売却して、最後は「庭付き一戸建て」を持つという、「住宅すごろく」と呼ばれる家の買い方が理想と思われていた時代もあります。

家を購入する中心世代は30 歳代です。就職して仕事でも中心戦力として忙しく働き、結婚もして、子どもが1人か2人いるかどうかというタイミングです。マイホーム購入の相談を受ける際に私が必ず相談者へ投げかける質問があります。それは、「どうして家が欲しいのですか?」です。


一瞬面食らった表情をされる方や、答えに詰まる方もいますが、それぞれの考えを答えてくれます。そして、その質問への回答の中で多いのが、「家賃を払い続けるのはもったいない」という回答です。確かに家賃を払い続けても自分の「物」にはなりません。夫婦と子どもが住める広さの部屋を借りれば、家賃は手取り収入の何割かを占める金額にもなります。


どこに住もうが借りていれば家賃が発生するし、どうせ払うなら自分の資産を形成しようという発想から「持ち家」という選択肢が出てくるようです。一方で「持ち家」は負債だと考える人もいます。住宅ローンという「借金」をいくら返済しても「収益」を生まないからという理由です。


そういった考えをお持ちの方は、「マイホームにそんなにお金をかけるなんて信じられない」と異口同音におっしゃいます。投資という観点から考えると一理あります。せっかく借金をするなら、それ以上のリターンを得たいと考えるならば、マイホームほど無駄な投資はないのかもしれません。マイホームを持つことで仕事にもより身が入って……など、間接的に好影響をもたらしているとも考えられますが、あえて持ち家のデメリットを考えてみたいと思います。

持ち家のデメリット

・ 購入の際には消費税・不動産取得税・登録免許税・印紙税など各種税金が課税される

・ 支払いが厳しくても住宅ローンの返済は止められない

・ 住宅ローンの返済以外に継続的に固定資産税がかかる

・ マンションの場合は管理費・修繕積立金も発生する

・ 一戸建ての場合は敷地内すべての修繕費用が自分に降りかかる

・ マンションの場合でも専有部分の修繕費用は修繕積立金とは別に必要

・ 自然災害に対する建物へのリスクの備えは自己負担


持ち家のデメリットは逆に賃貸のメリット

・ 固定資産税などの不動産に関わる税金の負担はない

・ 家賃の支払いが厳しければより家賃の安い物件に引っ越しする選択肢が持てる

・ 建物の修繕費用はオーナー持ち

・ 室内の住設機器の修理も通常の使用での故障なら原則オーナー負担

・ 建物の自然災害へのリスクの備えはオーナー負担


こう書くと「持ち家」反対派に見えるかもしれませんが、持ち家のデメリットも踏まえても個人的には持ち家の方がいいのではないかと思っています。ただ、家を買うには多くの人が住宅ローンを借ります。利息も含めて考えれば、総額では借りた金額以上の金額を長い期間をかけて支払っていきます。


家を買ってからの長い人生において、住宅ローンの返済が家計に与える影響は大きなものがあります。家を買うことに大きな借金を背負うほどの価値を感じているのか?ただなんとなく家を買おうとしていないか?「家賃と同じぐらいの返済額なら大丈夫」と思いたくもなります。しかし、人生最大の支出を「家賃の支払いがもったいない」という動機だけで決めてしまうのは早計です。ここは少し立ち止まって、損得だけではない「家を買いたい理由」をじっくりと考えてみる必要があります。