投資の基本は、人間の本能を学ぶところから始まる。「プロスペクト理論」を知ろう

人間の本能を知ることから投資の勉強は始まる。

メンタルコントロールを習得するためには、まず、『人間の本能』を知るところから始めなければいけません。投資と関係のない話では? と思う人が大半だと思いますが、決してそんなことはありません。その理由について説明していきましょう。


自分が思うようなトレードができないのは、実は、この『人間の本能』が邪魔をしてしまうのが原因です。驚くことに、投資は何も勉強せずに取り組むと、そもそも負けるようにできています。しかし、安心してください。事前にそのことを知っていれば、恐れることはありません。本能の赴くままに行動したら人間はこうなりやすいのだ、という傾向さえ理解しておけば、自分で良い方向に行動を正すことができます。まさに心理学ですね。投資の世界で有名な心理学の理論がありますのでご紹介したいと思います。

プロスペクト理論

『プロスペクト理論はダニエル・カーネマンとエイモス・トヴェルスキーが発表した理論です。不確実性下において、人はどのような予測を立ててどう行動するかを説明します』※出典: 『ポケット図解 行動経済学の基本がわかる本』ハワード・S・ダンフォード著/秀和システム/2013年3月15日


プロスペクト理論によれば、人間は利益を得るときと損失を被るときとでは、価値の感じ方が全く異なると唱えています。次の2つの質問と質問に対する答えで、そのイメージがつかめるでしょう。


質問1.あなたなら、どちらを選びますか?

1.無条件で100万円がもらえる

2.じゃんけんで勝ったら200万円がもらえるが、負けたら何ももらえない


質問1の場合では、ほとんどの人が無条件で100万円がもらえる「選択肢1」を選びます。わざわざ無条件でお金がもらえるのにリスクを冒す必要はありません。それでは次のような「特別な条件下」ではいかがでしょうか?


質問2.あなたは200万円の借金があります。あなたなら、どちらを選びますか?

3.無条件で100万円の借金が減額される

4.じゃんけんで勝ったら借金が全額免除されるが、負けたら借金は変わらない


質問1の場合は、ほとんどの人が無条件でお金をもらえる「選択肢1」を選んだのに対し、質問2の場合は、リスクを冒して借金を減らす「選択肢4」の方が多かったそうです。これらの質問は、どの選択肢を選んでも期待値は全て100万円になるはずですが(期待値とは起こりうる値の平均値のことを指す)、借金がある場合とない場合では、選択肢の結果が異なってしまったのです。


素直に考えれば、質問1で「選択肢1」を選んだ人ならば、質問2でもリスクのない「選択肢3」を選ぶと考えられますが、質問2では、不思議なことに、リスクを伴う「選択肢4」を選んでいるのです。

この実験結果は、『人間は利益を得ることよりも、損失の回避を優先する』ことを意味しています。利益獲得の局面では、利益が手に入らないというリスクの回避(確実性)を好み、逆に損失を被る局面では、損失そのものの回避(不確実性)を好む傾向があるということです。


つまり、投資で考えると、利益が乗り出したときは、ここから反転して利益が手に入らないというリスクの回避を優先し、ほんの少しの利益で決済します。逆に損失が増えると、一か八か、損失が全くなくなる状態まで我慢し、結果として、損失が大きく膨らんでしまうということが起きてしまうのです。いわゆる、『損大利小』です。


投資の理想は『損小利大』です。利益を大きく取って損失を小さくすれば、トータルでは大きく勝てます。しかし、ほとんどの個人投資家は『損大利小』になってしまいます。『損小利大』の方がいいことはわかっているのに実践できない理由は、実は、このプロスペクト理論で説明していた『人間の本能』が原因だったのです。