コミュニケーションのスキルとは信頼されること?まずは自分を知ることから。

まわりを味方にできればビジネスは成功する!

スポーツビジネスだけでなく、夢や目標がある方は自分のやりたいことを多くの人に伝え、どんどん周りを巻き込んで味方を増やすことが必要です。自分の夢を実現するために、一人で全てをする必要はありません。出来ること、出来ないことをきちんと整理し、たくさん味方を作る能力があればどんな夢でも実現できます


私は前職で株式会社岡本工務店という建築の会社に勤めていました。注文住宅や店舗、事務所などを中心に新築、リフォーム工事も行っている100年続いている工務店です。一般事務として入社しましたが、小さな会社でしたので人事総務、経理、お客様への対応など広く携わっていました。


入社当時は現社長の岡本雄介氏が大手ゼネコン、設計事務所を経て会社に3代目として会社に復帰したばかりで、まだ社員も少なく忙しくなり始めた頃でした。私もカラーコーディネータの資格を取得したばかりだったので、勉強のためにと内装の色決めなど現場のことにも携わらせていただきました。


大工さんなどの職人さんは社員ではなく、外注でお願いしている会社だったのですが、現場監督の数が足りなくて現場に鍵を開けに行ったり、現場チェックをしているうちに簡単な現場管理も担当するようになりました。インテリアの勉強をさせていただき、現場経験で多少の建築知識は身に付きましたが、ほぼ素人の女性が現場を見るなんて、まだほとんどない時代でした。

自分のできることをしっかり見つめできる範囲でお役に立つ、わからないことは素直に聞くこと。

最初の頃は、現場に行くと職人さんからはお施主さんに間違われていましたし、建築に関しても分からないことばかりなのに、次々と動いていく現場で戸惑う日々でした。でも、そんな状況でだんだん現場を回していけるようになったのは、コミュニケーション力とだだ一生懸命できることをやることでした。


私に建築知識や技術がなくても、現場で実際に施工するのはプロの職人さんです。自分は何ができるのか? どうすれば現場が上手く回っていくのか考えた時に、現場に携わってい

る人たちに質問するのが一番いいと気が付きました。


「お客様からこんな要望があるけど、出来る?」「壁は貼り分けなんだけど、下地の準備はどうしといたらいいと思う?」などなんでも質問し、現場で職人さんに教えてもらっているうちに、現場監督は次にどうしないといけないか、最終的にどうなるのかを理解して、分からないことは教えてもらう姿勢を持つと現場を収めることができると気が付きました。


職人さんにしては迷惑な話だったでしょうが、隙を見てはこまごまと聞くので色々と教えていただきました。現場では力仕事や汚れる作業も多くあります。他の現場監督はできても、私では体力的にできないこともあります。できないことはできない、わからないことはわからないとオープンにしました。それは他の誰かにカバーしてもらわないといけなくなります。


「じゃあ代わりに私は何ができるのか?」「どのタイミングでお願いしておくと効率がいいか?」と考えるようになりました。職人さんはよく見ているので、指図だけして自分は何もしない人、わからないのに分かったように指図する人、設計の先生やお客さまの顔色は見るけれど職人さんには無理を強いる人にはついて来てくれません


できないことをやれとは言われませんが、できないなりに自分のできること、やるべきことは何かを考えることや「お願いする」とはどういうことなのかを考える機会になりました。チームで何かを作り上げる難しさと面白さをたくさん教えてもらいました


職人さんと相談して、次の工程の職人さんにつなぐ。設計士さん、お客さまの意向をすり合わせるなど、良い建物を作るという目的の中で、自分のすべきこと、出来ることを常に考え、分からないことは隠さず飾らず、教えてもらう姿勢を持つことを心がけました


どうしたらいい建物になるか? スムーズに工程を進めることができるかを考え、携わる業者さんともその前提で問題や要望を共有することを心がけました。何年かすると職人さんからも信頼され、意見も聞いてもらえるようになりました。


「この現場は監督誰が担当するの? ○○君やったらやらないけど、荒井さんやったらやるで」と冗談で言ってもらえるような関係も築くことができました。「私が担当しても『がんばれ~』って応援しかできないですよ」と言うと職人さんは「それでいいねん。分からんことは誰か分かる人に聞いてくれるやろ? 分からんのに適当に進められたら一番困るわ」と言われ、自分のやり方が間違ってなかったと安心しました。


もちろん、女性であり現場監督のプロではないから大目に見てくれていることもたくさんありました。怒鳴られるや叱られることはほとんどないので、逆に自分の間違いは自分で気付いて直すしかありません。そのためには細かいことにも気が付かないと修正できません。自分がもっと上手くできたら、自社や関係業者さんの利益もあがったんじゃないか? お客様が工事で不自由する期間が短くできたのではないか?

まずは信頼を得ることで深いコミュニケーションが始まる!

最初の頃は出来上がってから気付くことばかりで毎回反省がありました。現場は毎回違いますので、起こる問題も千差万別です。最近の若者は叱られ慣れてないので、叱るとすぐに辞めるという声をよく耳にしますが、自分の間違いを自分で探すよりは、間違いを指摘して叱ってくれた方がよっぽど楽で身に付くのにと思っています。


自分で自分の実力の程度や間違いを考えないといけない経験があったから、色々な角度から物事を見る習慣が身に付き、人よりも早く、多く気付けるようになりました。ひとつのことから多くの疑問を出して、ひとつずつ解決することの大切さを学ばせていただきました。


男性と同じステージで張り合うのではなく、職人さんに代わってお客様や設計士さんとのコミュニケーションを密に取り、要望や不満を早めに聞くようにしました。女性ならではの視点から、問題の芽を摘めるように心掛けました。お客様が不満や不安を感じる前にこちらが対応すると信頼感に繋がる。このことで、現場で滞りがちな情報の共有ができ、現場の進行がスムーズになり、信頼関係を築くことができました


お客様の思いをくみ取る、大切なポイントを分かりやすく伝える技術はこの経験で培われました。現場管理の経験で、できること、できないことを自分自身が理解して、公にすることは勇気が要るが、チームとして結果を出すことを最優先に考えると避けては通れないこともわかりました。


自分が出来なくても、チームの誰かができればそれでいい結果を出すことができます。株式会社岡本工務店は正直、協力、感謝を心がけて、お施主さんの夢を実現するチーム作りを大切にする会社ですので、いい加減なことや自分勝手な作業をする職人さんには強く注意しましたし、やり直してもらうこともありました。


そんな時は文句を言われることもありましたが、なぜそれが必要かを説明して納得してもらうことを心掛け、次に引き摺らないようにしていました。「荒井さんの完了検査が一番厳しい」と言われる事もありましたが、細かいことを言うことはあまりなく、「プロとして、今できるベストなのか?」を求めていました。


家を作ることはお客様にとっては一生に一度の大事業です。「この会社に頼んでよかった! 家に居ると楽しい!」と思っていただけることが一番と思って、仕事をしていました。

最近、株式会社岡本工務店の工事部課長から「僕は職人さんの使い方、関わり方のお手本は荒井さんです。自分がすべてやるのではなく、周りの人を巻き込んで、それぞれの持ち場でベストをつくして、一緒に作り上げることが大切だとわかりました」と言われて本当にうれしく思いました。


技術や知識は必要不可欠で、常に自分で磨いていく必要があります。もちろんそのベースを身に付けていなくては対等に話しができませんが、相手を認め尊重する気持ちがあれば、どんな仕事でもできると思っています。


たとえば、優秀なお医者さんでもすばらしい家を作ることはできません。設計士さんや大工さんなど専門の方の力を借りますよね。洋服を作ることもできません。病気の時はお医者さんにお願いし、洋服を買う時は洋服屋さんで買う。毎日の生活では当たり前のように行っている『分業』ですが、いざビジネスになると途端にそこを割り切れない人が多くなります。


自分がプロなのはどんなことなのか? 出来ないこと、苦手なことはなんなのか? それは自分が学んで身につけるべきことなのか? 人に委託することなのか? まずは『自分』の棚卸しを徹底的に行うことです。自分の専門性、独自性は何ですか? それを活かすために足りないものは何ですか? それは自分が身に付けるべき能力でしょうか? 借りられるものでしょうか?


前職の株式会社岡本工務店には今でもお世話になっていて、毎年新入社員研修をご依頼いただき、社内の親睦会や社員旅行にもお誘いいただいています。社長をはじめ社員のみなさんにも受け入れていただき、独立起業する方が最初にぶつかる孤独感や不自由さは軽減され、今日までやって来られたことを感謝しています。チームを作り動かすことができれば、どんな仕事でもできます。コミュニケーション力はビジネスだけでなく、私達の毎日で最強の武器になると思っています。