経営理念の重要性を歴史ある企業から学ぶ

経営理念は共有の組織を創り上げるために必須である。

ずばり、答えは「人は、物語を共有することで組織を作り上げることができる」からです。日本に古事記があるように、どの国にも神話があり、自分たちはどこから来てどんな人たちなのかという物語のもと、協力して大きな天皇陵まで作る大事業をやってのけたのです。


企業も国家と同じで、山や川、木や草、動物(あえて、ここで私たち人間を加えないのは、人間である自分は、自分が考える自分や、他人が見る自分という物語から出来上がっているからです)のように、(手で触れるような)物理的実体があるわけではありませんから、私たちの中、企業で働く人々の中にしか存在しません。


そのため、会社を登記して実体(家や土地と同じように権利や義務の対象としての能力)を与えないとならないわけですね。経営理念は、この会社はどんな会社で、どのような考え方をもっているのかということを、従業員や世間に知ってもらうためにあります。そして、従業員にはその物語に沿うような行動を求め、世間には、理念にあるような会社であるので信用して取引をしてもらうのです。単に従業員の行動指針という意味だけでなく、世間にも尊敬されて認めてもらって、末永く存続する会社に育っていくために企業理念があるのですね。



日本の長寿は人の寿命だけでなく、企業の長寿国でもあった。

日本は、世界一の長寿国の地位を、香港に譲ってしまいましたが、企業の世界では断トツの世界一です。なにしろ、百年以上続いている企業は二万六千社以上もあるそうです(AduerTimes)。中でも、世界一を誇るのは、「聖徳太子の命を受けて、海のかなた百済の国から三人の工匠が招かれました。そのうちのひとりが、金剛組初代の金剛重光です。」(金剛組 http://www.kongogumi.co.jp/ 2017年6月19日15時07分確認)という、株式会社金剛組です。総合建設業(宮大工さんでしょうか)を営むこの会社の理念は、「我々の姿勢」として表されています。


「金剛組が生まれて1400年余。私達は、その時代の人々の信仰と、心のよりどころを醸成する宗教建築の造営に携わってまいりました。その永い歴史の中で常に心に刻んできたのは、先駆者たる自覚に基づいた伝統の技術を、後世に伝えるという使命感です。…先達は技の鍛錬と心の修養に勤めてまいりました。常にお客様から求められる存在でありたい、金剛組に頼んでよかったと感じて頂きたい、そのような気持ちが社寺建築一筋に1400年余続いた原動力となっています。私達はこれからも伝統を重んじつつ、あたらしい技術を常に追求するリーディングカンパニーでありたいと願っています。」 


この素晴らしい理念があったからこそ、金剛組はこの変わりゆく世の中で1400年も歳月を継続することができました。経営理念が違ったものであれば社員の行動、そして企業の在り方から変わってきます。今後、企業間でお付き合いをする際に、どんなことを理念にされているのかも取引の参考にすべきだと思います。