過去の出来事が今の自分に必要なわけとは?

過去のひどい出来事が人の人生を決めているのではありません。

過去にこんなにひどい出来事があったのだから、今この苦しい状況があるのは当たり前だという人がいますが、

アドラー心理学では、その点については少し違った見方をしています。

過去のひどい出来事が、人の人生を決めているのではありません。

たとえば、人から裏切られて詐欺の被害に遭った、という出来事があったとします。

ある人は「だから私は、人を信じることができないし、人と関わることができないのは当たり前だ」と言います。

でもある人は「そういう体験をした私だから、同じような被害に遭った人たちと関わり、助ける仕事がしたい」と言います。

この違いには劣等感が関係しています。

「どうせ人を信じたところで、きっとまた裏切られるに違いない、

自分はいつも人から裏切られるのだ」という思い込み(劣等コンプレックス)が、

人を信じないと決意させているのです。

傷つくことを恐れて、人と関わらないと決めているのです。その理由づけとして、

裏切られ詐欺の被害に遭った過去の出来事を使っているということになります。

出会ったすべての人が、あなたを裏切ったのか証拠探しをしてみましょう。

大抵の場合、すべての人が裏切ったわけではないと思います。

親切にしてくれた人、助けてくれた人、心からわかり合えた人にも出会っているのではないでしょうか。

裏切られたという体験を使って生きるか、人から助けられた、

親切にされたという体験を使って生きるかということです。

「嫌われる勇気」という本で「トラウマは存在しない」と書かれていますが、私の考えは少し違います。

私はDV被害の経験者なのですが、離婚後数年にわたって、大きな声や大きな音に対して、

背筋がぞーっとするような感覚が襲ってくる体験がありました。

他にも隣に座っている人が急に立ち上がると、私は恐怖を感じ身体が硬直してフリーズしてしまっていました。

隣にいる人が好きな人だったり、心が許せる人だったりしても、そうなってしまうのです。

悲しいですよね。反応なのだと思います。だから、トラウマやPTSDがないと言われてしまうと、

私に起こったこの体験の説明がしにくくなると思うのです。

でも、今の私はDV被害やPTSDの経験を、時間はかかりましたが、前向きに生きていく方向に使ったのです。

私たちは、過去の人生での体験を通して、今の自分に必要なものを必要なように使って生きています。

過去の出来事を、自分の意思でどのようにでも解釈することができます。

そして、これからの行動も自分でどのようにでも決めていくことができるのです。

あなたの貴重な体験・経験をどのように使って、これからの人生を歩んでいきますか?

過去のつらい出来事が、その人の人生を支配しているのではないことをご理解いただけたでしょうか。