子どもの集中力を養わせるために重要な「遊び」の話

つい周りと比べて「うちの子は集中力がなくて」と心配される話を聞くことがあります

たとえば陸上競技でも100メートル走が得意な人やマラソンが得意な人がいるように、

集中力も30分にわたりバランスよく集中する子もいれば、10分を一気に集中する子もいます。

子どもたちに大切なのは時間の長さではなく、その子が自分で決めた時間の中でどれだけ集中して自分らしさを発揮することができたのか、

ということではないかと思うのです。

私の教室の中でも、子どもたちのものづくりに集中できる時間はさまざまです。細かい作業を根気よく継続して集中する子、

エネルギーを一気に放出して短い時間で集中する子などいろいろなタイプの子がいます。

集中力は子どもたちそれぞれの考える力や学ぶ力がきっかけで自然と生まれるものですので、

そのどれもが正しく、長いから短いからと比較するものではありません。

集中力は気持ちの状態によっても変わります。根気よく集中できるタイプの子でも、

その日の小さなつまずきによって一人でできなくなり、とたんに集中力が途切れてしまうこともあります。

そんなときは放置せずに寄り添い、サポートをします。それは大人が完全に手伝ったり、言葉で答えを教えたりすることではありません。

「今からするの見とってよ」と横で言葉を使わず動作だけで手本を見せたり、

「それ、まねしたい」と思わせるスゴ技をそっと見せたりして、そして「やってみる?」と声をかけてみます。

あくまでその子が自発的に「続きは自分でやりたい」と思うように導きます。

子どもの心に何かがひっかかれば、それがきっかけで新しいイメージがどんどん湧き、そこから一気に再び集中して制作が進み、

5分10分であっという間に完成することもめずらしくはありません。楽しい気持ちをどれだけ続かせることができるかは、

側にいる大人の腕の見せどころではないでしょうか?

「まだここ完成していないのに違うことして!」「もっと集中しなさい」といったような、

楽しさや情熱がなくなった雰囲気の中では集中などできませんし、いい表現は生まれてきません。


子どもが自分で楽しさを見つけ出していき、夢中になれる時間の積み重ねの中で、

その子なりの集中力の時間や種類のバリエーションも自然に増えていくのです。

子どもの集中力

ただ楽しいから、ただおもしろいからといった、夢中になれる、遊び感覚あふれる活動と、

その活動をいつまで続けるかを子どもたちに自由に任せているくつろいだ環境の中で、

心と体を一つにして取り組むことによってでき、さらに深い力になっていきます。その活動と環境の中で、

子どもたちに新しい変化が見られます。

5歳の女の子が108ピースもあるパズルにチャレンジしたときのことです。

黙々と仕上げていき、半分まできたところで「できんようになってしまった」と手が止まりました。

「時間は気にせずゆっくり落ち着いてみたらきっとできる」と励ますと

「仕上げるまで頑張ってみるわ!みんな先にお弁当食べとって」と。

そんな彼女の意思を尊重する時間の中で、ついに自分の力で完成させ、満足げな顔で目をキラキラと輝かせていました。

そして数日後、なんとその子はパズルを裏返して灰色の無地の面に絵を描き、自分の表現を加えたオリジナルパズルに作り替え、

再び108ピースにチャレンジしたのです。

子どもは一つの流れをやり遂げるまでは気が済みません。自分で納得するまでやり遂げることができる環境と習慣は、

子どもの集中力を大きく養い、自発的にさらに深い楽しみと集中を求めて、新しい学びを自分の力で工夫して創り出していきます。

この集中力は子どもが大人になっていく中で直面する、そのときその場面での困難や課題に、

自ら向き合い解決していく底力にもなるのです。

子どもたちはものづくりの活動の中で、自分のイメージや意思を手に伝える力を養いながら、

考える力や学ぶ力を合体させ、自分なりの集中力を養います。そしてその集中力は、

さらに豊かな新しい自分なりの表現を生み出していく力になっていくのです。