親との関係を見直すことで生まれるもの

できることを探してみる

子どもの頃に親から批判されたり、否定されたり、話を聞いてもらえなかったり、

無視されたり、暴力で支配されたりしたことが、

今の人生に大きく影響を与えていると考える人は多いかもしれません。

今の自分が、新しいことに取り組もうとしたとき、困難に立ち向かおうとしたとき、

過去の嫌だった親との出来事や関係性から脱却できずにいると感じていませんか。

過去の経験を断ち切りたいと思う人もいらっしゃるかもしれません。

でも、自分の人生の一部である自分の過去を、その嫌な部分だけ切り取ってしまうなんてことはできません。

できないことをしようともがくのではなく、できることを探してみましょう。

できることは、その過去をできる限りポジティブなものに捉え直すことです。

たとえば、母に子どもの頃から、

「親の言うことを聞きなさい」、「お姉ちゃんなんだからしっかりしなさい」、「バカなことはしてはいけない」、

「勉強は一番になりなさい」、「偉そうに意見を言うものじゃありません」、「周りの人に迷惑にならないようにしなさい」、

「人に合わせて生きていきなさい」、「誰にでも好かれるようにしなさい」などと言われていた私は、

親の顔色、周囲の大人の顔色を見てそれに合わせて生きるように育ちました。

大人になっても、人の顔色をうかがい、自分の意見を言えず、

相手を怒らせてはいけないと気を使い、人と合わせるいい人でいることが重要なことになっていました。

それがとても窮屈で嫌なことだったのですが、どうしようもできないと思っていました。

結婚生活も相手の顔色をうかがって、相手に合わせて自分の意見を言えない生活でした。

私が相手と作った関係は、支配される関係だったのだと思います。

こんなことになったのも、親との関係で人の顔色を見て、

人に合わせることがいいことだと言われて育ったせいだと思っていた時期もありました。

そんな私が離婚をしたとき、母は私が住む場所、仕事、子どものことを過度に心配してくれていました。

心配のあまり、母の思い通りにさせたくなっているのが伝わってきます。

この頃、私はすでにカウンセラーになるため、アドラー心理学の勉強を始めていたので、

母の支配的な行動や言動に左右されずに、できるだけ対等に関わり始めました。

母は私にカウンセラーなんかよりも、

確実に収入を得ることができる正社員の事務の仕事に就きなさいといつも言っていました。

休日の新聞に入っている求人広告に母が気に入った仕事の記事があると、

それを切り取って、我が家の郵便受けに入れてきたことも度々でした。

カウンセラーになるために派遣社員やアルバイトを掛け持ちして働きながら勉強している私を見て、

母は指示や指導を与えようとしていました。

世間体を押しつけてきました。

このような母の行動の目的は何なのだろうと考えたとき、「心配なんだ」と理解することができました。

心配することが親としての責任だと思っているのだとわかってきたのです。

子どもの頃から今まで、私がちゃんと成長するか、失敗しないか、間違ったことをしないか、

心配して細かく口を出してきたのだとわかったとき、ちゃんと愛されていたのだと感じました。

私のしてほしかった愛し方ではなかったかもしれないけれど、確かに愛されていたのです。

親との関係を捉え直すことができれば、自分が生きていく上での土台になったような気がします。

そして、心配している親を安心させればいいということに気がついたのです。

アドラー心理学を学び始めていた私は、自分がやりたいことを貫き、それを見守ってくれていることに感謝して、

ちゃんと生活ができていて楽しいということを報告し続ける方法に変更しました。

やっと母と対等な関係をつくり始めることができたのです。

あんなに嫌だった親からの支配が嫌なことではなくなって、

別に言いなりにならなくても、私は私の考えで生きたらいいのだと、

それでもちゃんと愛されているのだと感じることができたのです。

親との関係が今の自分の生き方に少なからず影響を与えていると感じているのなら、

親との関係を見直し、対等な信頼関係をつくり直すことだと思います。

他者である親を変えることはできません。

できることは、自分自身が親との関係に新しい意味づけをしていくことです。