母親不在という分離不安をうまく描いた映画はコレ!

映画『となりのトトロ』で考える母子関係

『となりのトトロ』は子どもに大人気のジブリ映画の一つですが、この映画には母子関係が見事に表現されています。

主人公であるサツキとメイの母親は病気で入院しており、静養にもなるため田舎に引っ越してきました。

姉妹は新しい土地で暮らす期待感で胸を弾ませつつも、

入院した母親と慣れ親しんだ土地からの引っ越しという二重の分離不安を抱えていました。

そのような不安を抱えた心理状態の中で、メイは森の中で迷いトトロに出会います。

トトロのふかふかした身体は母性の象徴ともいえるアタッチメント(愛着)を満たしてくれます。

歩き始めた赤ちゃんは親のお腹の上に乗ってきて、顔をのぞき込んだり、ぎゅーとしがみついたりしてきますが、

とても安心感を得られます。メイも安心したのかトトロに抱きついたまま眠ってしまいます。

想定していなかった退院延期

母親の一時退院する予定が急きょ延期になったとき、母親が死んでしまうのではないか、

母親に見捨てられてしまうのではないかという大きな不安が生じる中で、

母性の象徴ともいえるトトロの存在は子どもたちの心理的な成長を支えてくれます。

その一方で、トトロの大きな口は子どもを飲み込んでしまうぐらいの迫力があり、

闇夜を照らすネコバスのギョロッとした目は見張っている母親のようでもあります。

トトロは子どもに畏れを感じさせますが、頼れる存在でもあるのです。

夜中に目を覚ましたサツキとメイは、大自然に囲まれた中で、トトロと一緒に傘を上下に動かして「う~ん」と声を出しながら、

小さな芽を生やして空高く伸ばしていくシーンがあります。

トトロの存在は内なる母親像として、子どもの成長を後押ししてくれているようです。

映画『となりのトトロ』は母親不在という分離不安を克服し、

精神的に自立する子どもたちの心の成長を見、描いている作品といえるのではないでしょうか。