ものづくりで伸ばす、子どもの自己表現力のお話

ものづくりでイキイキ

子どもたちはどうしてこれほどまでにイキイキと自分を輝かせながらものづくりに取り組むのでしょうか。

おそらく何千年も前の人たちも、子どもの頃から絵や造形を感じたまま素直に楽しんでいたことでしょう。

自分が感じたことを表現して楽しむことも、それを周りに伝えて共有することも、

今この瞬間を生きる自分を実感する喜びなのかもしれません。

子どもたちはいつも与えられた答えからではなく、自分の感覚に向き合い、

感じたことから自分らしい表現を生み出していきます。実物と同じようにうまく作ること、

教えられた通りに丁寧にできること、きれいに美しく作ることが最優先ではないです。

子どもたちに一番大切なことは、自分の感じたことを自分らしく表現することなのです。

表現とは、心の中で感じたことやそこからあふれ出したイメージなど、内面にあるものを自分らしく外に放出し、

時に誰かに伝え共有・共感し合う手段です。ものづくりに取り組む子どもたちは、

自分の内面にあるものをとてもイキイキと魅力的な形として表現していきます。

その子どもたちの豊かな表現の核として内面に存在するものは、

これまでものづくりでしっかり養ってきた、感じ取る力、想像力、コミュニケーション力なのです。

さまざまな体験の中から自分の力でたくさんのことを感じ取る経験を繰り返し、

想像力やコミュニケーション力を身につけ、それらを土台として自らの強みとしている子どもたちは、

すでにとても豊かな表現力をも身につけており、さまざまな場面で自分らしくたくましい表現を生み出していきます。

ものづくりによって、外の世界からたくさんの学びを自分の内面に受け入れ、育み、

それを自分らしさに変えて再び外へ放出するこの活動は、

子どもたちの心の調和を保ちながら自分らしい素直な表現力を育み、明るく充実感あふれる将来を作っていくのです。


表現力は伝える力でもあります。

子どもは感じ取ったものを誰かに伝えようとするとき、音、態度、言葉、そしてものづくりで生み出す「形」で表現します。

その活動の中で子どもたちは、自分の頭の中にあるイメージや意思を自分の手に伝えていく力と、

その手を思い通りにコントロールする力を養っていきます。

この力は心と体を一体化させる源になるのです。

2歳頃、手に持ったクレヨンや絵の具を紙の上で動かし、線ができる喜びを知った子どもは、

ぬりたくりの中で描いたものからイメージを広げると同時に、頭にある描きたいイメージや意思を手に伝えるという、

筋肉の運動と手をコントロールする成長が始まります。そして年齢を重ねながらさらに意思がはっきりし、

もっとたくさんの手の動きに感動し興味を持ち、何度も何度も新しく生み出した手の動きを伝え、表現していきます。

ただ単純に楽しみながら、すくう、つまむ、ちぎる、こねる、結ぶなど、手や腕や指先を使い、自分の意思で筋肉を調整し、

「自分のイメージをどう手に伝えたらいいか」「そのためにはどうしたらいいか」と目的に向かって工夫をする中で、

自然と考える力、学ぶ力をも養っていきます。

たとえば、ジェルキャンドル体験ではスプーンで砂をすくって小さなコップに入れていく作業がありますが、

小さな子どもにとっては、大人が巨大なシャベル(東日本ではスコップと言うそうですが)で

土砂をすくって移していく作業と同じぐらい大変だろうなと思うことがあります。

子どもたちにとってはこんな些細な作業でさえワクワクドキドキの連続であり、

自分でできる喜びに満ちあふれながら全身を使って一生懸命ひたむきに取り組みます。

その証拠にスプーン片手に制作に向かう子どもたちは、普段は見せないとても大人びた表情をするのです。

子どもは「何をするにも精いっぱい」でハラハラの連続ですが、

イメージや意思を自分の手に伝える喜びの体験に出会うと、そこで経験した考える力や学ぶ力を活かし、

自分の判断でさらに新しい表現を夢中で繰り返します。その中で集中力をも養っていくのです。