左腕を失いかけた人が見つけたもの~陰陽師のコラム~

左腕を失いかけた人

あるワークショップに参加した時の出来事なのですが、私はたまたま居合わせた隣の人と話をしていました。

彼の左腕全体には大きな目立つやけどのような痕がありました。

彼とは偶然、帰りの電車でも一緒になり、その話をしてくれました。

8年前のある日、彼はお酒に酔って駅のホームから転落し、

そこに入線してきた電車にひかれたというのです。

顔面は複雑骨折。左腕はほとんど失いかけて、運ばれた病院の医師から

「一応、つなげてみようか」と半ばあきらめたように言われて手術をしたそうです。

命があるだけでも奇跡なのに、彼の腕も奇跡的につながりました。

その大事故をきっかけに・・・

彼の人生はそれまでとはまったく違うものに

「一度、死んだも同然ですからね。だったらこれからは、余生だと思って自分らしく生きようと思ったんです」

その後、彼は会社員を続けながら、自分が学んでみたかったあらゆるものを学び、そして本当にやりたいことに出会いました。

それは、自分が経験したことを話し、児童養護施設の子どもたちの支援に生かすことでした。

彼は子どもたちの笑顔を見ることが、何よりも好きだったのです。

「子どもが変わっていく姿を見るのは最高ですよ」

特に経験した大事故の話をすると、子どもたちが食い入るように聞き入ってくるといいます。

「あの事故はラッキーでしたね。こんな生き方に気づかせてくれたから。

それに障がいがある人の気持ちも少しわかるようになったし」